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キャリア教育の推進と効果的な実践についての考察
初等中等教育における「キャリア教育」を推進していくための基本的な方向等について総合的に検討するため,平成14年11月に「キャリア教育の推進に関する総合的調 査研究協力者会議」が設置された。 さらに、若年者の雇用問題に対し政府全体として対策を講ずるため、文部科学省、厚生労働省、経済産業省及び内閣府の関係4府省では、平成15年4月に関係4大臣によ る「若者自立・挑戦戦略会議」を発足させ、同年6月には、教育・雇用・産業政策の連携強化等による総合的な人材対策として「若者自立・挑戦プラン」を取りまとめた。 このような国を中心にした動きから、平成17年度よりキャリア教育という言葉が頻繁に使われるようになり、岡山県教育委員会も具体的な取組みを積極的に行って来た。 2.昨年度までの取組み 3.キャリア教育の定義 (1)端的には「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育」 (2)中央教育審議会答申(平成11年12月)における定義:「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身に付けさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育」 (3)これを本協力者会議では、「キャリア」概念に基づき、「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育」ととらえている 4.キャリア教育の意義 (2)キャリア教育は、キャリアが子どもたちの発達段階やその発達課題の達成と深くかかわりながら段階を追って発達していくことを踏まえ、子どもたちの全人的な成長・発達を促す視点に立った取組を積極的に進めることである。 (3)キャリア教育は、子どもたちのキャリア発達を支援する観点にたって、各領域の関連する諸活動を体系化し計画的、組織的に実施することができるよう、各学校が教育課程編成の在り方を見直していくことである。 と定義されている。 5.キャリア教育が求められる背景についての考察 学校から社会への移行をめぐる様々な課題 (1) 就職・就業をめぐる環境の激変 経済成長の安定・低迷期を経て、新規学卒者に対する求人は著しく減少してきた。さらに、企業等が求める職種と新卒者が求める求人が合わない、その差は益々拡大している。 (2)若者自身の資質等をめぐる課題 働くことに対しての意義や目的がはっきりしないなどの勤労観の欠如や、働いて社会や地域などに貢献するなどといった使命や、働くことの楽しさや責任感が希薄であるなどの職業観の未熟さも考えられる。そのため、自分に合わないとか、我慢できないなどといって離職したり、逆に働くことに自信が持てず最初から正社員としての 勤務を希望しないなどの理由も考えられる。 職業人としての縛られたくない、自由な時間が欲しい、人との接触というか接し方が上手く出来ないなどの理由で正規社員とならなかったり、逆に考えの甘さなどから 職場での人間関係を保つことができないなどの理由で辞めたりしているのではないか と考えられる。コミュニケーションの欠如など、基礎的資質・能力の低下などが指摘 されている。 6.子どもたちの生活・意識の変化 身体的な早熟傾向に比べ、安易な行動や考えをしたり粘り強さなどにも弱く、精神的にも弱い、少子化などでいつも守られているため社会的自立が遅れる傾向にもあるのではないかと思われる。以前であれば、家庭での役割や仕事などが与えられていた が今は与えられていない。そのため、生産活動経験などにも乏しく、幼い頃から周囲の子供と遊ぶ機会も少なく、家庭内で過ごす場面も多くなっており、社会性なども弱 くなったと言われている。 (2)高学歴社会におけるモラトリアム傾向 若者が職業について考えたり、職業の選択・決定を先送りにするモラトリアム傾向が強くいつまでも職に就かない傾向も見られる。逆に、進路意識や目的意識が希薄なまま「とりあえず」進学し、目的もなく日々をすごすという若者の増加も見られる。(モラトリアムとは、ニートのように社会的に認められた期間を徒過したにもかかわらず就職猶予を求める状態を指して用いられることが多い。 7. 進路指導,職業教育とキャリア教育 8.キャリア教育推進のための方策 (1)「能力・態度」の育成を軸とした学習プログラムの開発 ①児童生徒の各発達段階における発達課題の達成との関連から、各時期に身に付けることが求められる能力・態度の到達目標を具体的に設定する。 ②個々の活動がどのような能力・態度の形成を図ろうとするものであるのか等の明 確化が大切である。 ③先進的な取組事例の情報提供や学習プログラムの開発・普及を図る。 (2)教育課程への位置付けとその工夫 ①各学校が、キャリア発達の支援という視点から自校の教育課程の在り方を点検・ 改善していくことが重要となる。 ②児童生徒の発達段階を踏まえ、各校種が果たすべき役割や他校種における活動内容・方法・形態等を把握するなど、校種間の連携や一貫性にも留意する。 ③今後、各学校における取組状況等を踏まえ、キャリア教育を一層推進する観点から、学習指導要領上の取扱について検討していくことが必要。 (3)体験活動等の活用 ①体験活動等は、職業や仕事についての具体的・現実的理解の促進、勤労観、職業観の形成等の効果があり、社会の現実を見失いがちな現代の子どもたちが現実に 立脚した確かな認識を育む上で欠かすことができないものである。 ②体験活動等が一過性の行事にならないよう、事前・事後の指導など、周到な準備と計画のもとに実施する必要がある。 (4)社会や経済の仕組みについての現実的理解の促進等 ①社会の仕組みや経済社会の構造とその働きについて、の早い段階からの具体的・ 現実的理解がはかれるようにする。 ②労働者としての権利・義務、相談機関等に関する情報・知識などの最低限の知識の習得を進める。 (5)多様で幅広い他者との人間関係の構築 ①日頃から、多くの人々と幅広い人間関係を持つことができるよう働きかける機会を設ける。 ②多くの大人が子どもたちと関わる様々な場や機会を積極的に設けていく。 9.教員の資質の向上と専門的能力を有する教員の養成 (1)教員一人一人の資質向上 ①キャリア教育の本質的理解を全ての教員が共有し、各教育活動等における個々の取組がキャリア教育においてどのような位置付けと役割を果たすものかについて、 十分な理解と認識を確立することが不可欠である。 ②学校のカリキュラム開発能力の向上 (2)各学校におけるキャリア発達への支援を軸としたカリキュラムの開発と、家庭、地域、企業等との幅広い連携・協力関係を得られるようなコーディネート(調整)能力を有する教員を養成するため、キャリア教育の中核的役割を担う教員を対象とした研修の充実に努める。 (3)キャリア・カウンセリングを担当する教員の養成 ①全ての教員が基本的なキャリア・カウンセリングを行うことができるような研修の充実に努める。 ②「キャリア・カウンセリング研修(基礎)」、「キャリア・カウンセリング研修(専門)」の二つの研修プログラム例を示す。 ③教員養成段階においても、キャリア教育及びキャリア・カウンセリングにかかる基礎的・基本的な知識や理解が得られるような改善が必要。 10. 保護者との連携の推進 (1)受入事業所等の確保と地域におけるシステムづくり ①体験活動の普及・円滑な実施・定着のためには関係機関が一体となって取り組むことが大切であり、体験活動推進のための協議会を組織するなど、地域のシステ ムづくりが必要となる。 (2)キャリア・アドバイザーの確保と活用 ①キャリアを形成していく方法等について専門的な知識や情報を持っている人々をキャリア・アドバイザーとして学校に招き、講演・講話、懇談会等を実施する。 ②職種、経歴、年齢等、幅広い層からキャリア・アドバイザーを確保できるよう、対象となる人材の名簿づくりや人材バンク登録システムなどを構築する。 12.関係機関等の連携と社会全体の理解の促進 (2)関係機関等が職場体験,インターンシップ等の実施やキャリア・アドバイザーの活用等について連絡・協議して推進していく場を国、地方の各レベルで整備する。 ①ハローワーク等との緊密な連携 A ハローワークの幅広い業務・施策について周知を図り、日頃から緊密な情報交 換に努めることが必要である。 ②大学・専門学校等との連携 A 高大連携にかかる取組は、大学・専門学校等への進学や大学・専門学校等卒業後の進路や職業について考えることになるなど、子どもたちのキャリア意識を高めるという視点を重視し、関係者が一体となった一層の工夫が望まれる。 ③関係団体・企業等の理解と協力の推進 A経済団体の協力により、職場体験やインターンシップ等の意義の周知及び受け入れへの協力を図ってもらい、学校の取組や生徒の活動を積極的に支援してい く体制の構築をはかる。 13.本年度検討を加えた内容について 昨年度作成した一覧表に実施の時期を各学年毎に付加し、代表的なものについて簡単な計画書を作成を行った。目的や狙い、評価の方法や具体的な評価例などを取り入れたが、評価は数値による評価は望ましくなく、「総合的な学習の時間」と同じように文章表記の方がよいのではないかと考え、A、B、Cの形で行ってみることとした。内容的には改善の余地も多く、まだまだ不十分であるが、まず今年度でき得る所に手 を加えてみた。評価項目、実施の内容、評価の具体例などどうだろうかと思っている。 14.おわりに (1)今後、「キャリア教育推進に関する手引き」の作成など、様々な施策が必要である。 (2)大人自身が自己の在り方生き方を考えたり見直したりする姿勢を持つとともに、キャリア発達を支援する社会的気運を醸成し、社会全体で子どもたちに働きかけていくことが大きな課題となる。 そのためにも今年度より、更に次年度と内容の充実に努めて行きたいと考えてい る。キャリア教育の必要性については、疑いのない所であろう、目的を達成するた めに中央教育審議会の提案を参考にしながら、学校教育しいては生徒のキャリア養 成に少しでも役立てられるものを創造していきたいものである。 |
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